こりゃいかんよ！情シスさん！

ある日、筆者の隣の部署にいるN君がなにやらノートPCをいじっている。
N君は今年配属されたばかりの進入社員である。

筆者「どうしたの？」
N「こんどの研修用に借りたんです。」
筆者「持っていくんだ」
N「はい、最後に発表会がありますから」

聞くと、今年の新入社員は研修の一環として海外工場に研修に行くことになっているらしい。
そして研修の最終日に研修期間中の成果を発表するのだそうだ。
もちろん発表にはお約束のPowerPointを使用する。
つまりノートPCはデータ分析用ではなく、発表用に持っていくのである。

この程度のことでわざわざノートPCを持っていかせるなんて・・・。
それなら何かデータをデータを取って、PCを活用したデータ分析の仕方を指導したほうがいいのになぁ。
最近PCの利用が一般化してきているが、見栄えの良い報告書やメールにしか使わない人が相変わらず多い。
なんか目的をはき違えているような気がするのは筆者だけだろうか・・・。

ところでN君、良く見てみると様子がおかしい。
筆者は更に話しかける。
筆者「どうした？」
N「ネットワークが繋がってないみたいです。」

どれどれ・・・筆者は様子を見てみる。
このノートPCは筆者の部署で管理しているものではない。
見ると情報システム部管理のノートPCで、OSはWindows2000だった。

筆者「う～ん、動作が遅いなぁ・・・。」
N「そうなんですよ。なぜなんですかね・・・。」

そこで筆者はipconfigコマンドでネットワーク設定を確認した。
するとIPアドレスに192.168.ｘｘ.ｘｘが割り当てられている。
う～ん、DHCPが無効になってるな・・・、貸し出し用PCなのになんでプライベートアドレスを固定で使ってたんだろ・・・。
この解決にはネットワークの設定を変更するだけでよいのだが、それには管理者権限が必要だ。
いくら昔ネットワーク管理をしていたとしても、他部署が管理しているPCの管理者パスワードが分かるはずが無い。

と、いいつつこのまま黙っているのもよくないので、ダメ元で管理者ログオンを試みる。
パスワードは・・・ナシでやってみる。

ログインできた。

は？情報システム部管理なのに、管理者パスワード設定してないの？
狐につままれたような面持ちで、ネットワーク設定を変更後、中身を調べ始めた。

ん～、なんかデータが残ってるなぁ。見たことないソフトウェアも入ってるぞ。
これは・・・お、顧客情報じゃないか。
そうか、先日開催した展示会の招待客リストだな。
こんなの残しておくなんて、セキュリティや個人情報保護を仰々しく唱えている部署の仕事とは到底思えん。
さらにWindowsUpdateも2年分実施していない。

「これでセキュリティ対策を実施してください」
などとよく言えるもんだ。

筆者は情報システム部の某氏に電話をかけた。
筆者「あのさ新人が人事部経由でノートPC借りてきたんだけどね、これぼろぼろなんだけど？」
某氏「どうなってるんですか？」
筆者「招待客リストがあるんですけどねぇ」
某氏「え？・・・何で持ってるんですか？」
筆者「何でじゃなくて、普通データを消してから貸し出すものでしょ？」
某氏「へへ・・・、削除しておいてください。」

自分たちは問題ない・・・という慢心がこのような間抜けな状況を生むのでしょうな。

だいたい
「セキュリティ向上のためWindowsUpdateをxx日までに行ってください」
と通知している部署自身が管理しているノートPCが、実は何のセキュリティ対策も施されていないのだから笑止千万である。

ちなみにこのPC、更に不幸な状態であることが分かった。
マニュアルで再インストールされていたのである。

なぜ分かったかって？
再インストール時に必要なドライバ類が不完全だったからである。
N君は現地滞在中に外国語の勉強をするそうである。
そのため勉強用のCDを持っていく予定だったのだが、ドライバが不完全なためスピーカーから音が出なかったのである。
・・・もちろん、完璧にインストールしておきました。

ついでに言えば、なぜ再インストール時にNTFSに変更しなかったのだろうか。
これではセキュリティは無いも同然なのに・・・。