去る者
今日の午後、開発部のM君がふらりとやってきた。
「pochiさん、お世話になりました。」
M君は今日で事実上退職するのである。
午前中に「退職の挨拶」と題したメールは来ていた。
しかし、直接本人が挨拶に来るとは思わなかった。
筆者「俺、何かお世話したっけ?」
M「はい、いろいろ教えてもらいました。」
筆者「そうかい?何教えたか覚えてないなぁ・・・。」
誰に何を教えたのか・・・なんてことは殆ど覚えてないのが筆者の性分である。
M「俺、部署以外の人で挨拶しようと思ったのpochiさんくらいなんですよ。」
筆者「え、そうなの?逆に何を教えたのか心配になってきたな・・・。」
そして筆者はM君と暫く話をした。
もともと研究職希望だったM君。
入社して材料開発をしばらく担当した後、開発部に異動し製品の開発に携わった。
しかし希望する仕事でなかったため、周囲に対しやる気の無い態度を見せていた。
それが誤解を生む。
M君は次第に孤立していった。
それでもM君の素質を理解する者もいた。
開発部のUさんである。
彼はM君に様々なことを教えていた。
そして
「最近製品開発の仕事が面白くなってきました」
M君がUさんに言ったのは今年の春である。
そんななかでM君は転職を決めてしまった。
筆者「なぜ?」
M「どうしても研究の仕事がやりたかったんです。迷いましたけど、多分これが最後のチャンスだと思って・・・。」
筆者「そっか。」
M君の気持ちも十分理解できる。
筆者はM君に言った。
筆者「転職先でも希望どおりの仕事ができるとは限らないよ。でも何か吸収するつもりでやりな。それから周囲からのプレッシャーには負けるなよ」
筆者からのエールのつもりである。
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