仕事で信用を失う瞬間
T君は中国の事業所に技術統括の一人として駐在している。
仕事がら筆者の部署とかかわりが深く、時々中国のメーカーへの問い合わせを仲介したり、技術的な打ち合わせを実施してもらったりしている。
もちろんこの対応はありがたいのだが、T君には困った癖がある。
どんな打ち合わせでも議事録を取らず、会議の内容についてほとんど報告してこないのである。
「昨日の打ち合わせはどうだったの?」
現地で会議が実施された翌日、筆者もT君に問いあわせることが多かった。
「あぁ、アレ?そうだなぁ、あれは当分解決しないんじゃないかなぁ?」
メーカーがどういう報告をしてきて、それに対してT君が何て答えたのか聞きたかったのであり、T君の感想にはあまり興味はない。
しかしいくら問い合わせても資料は届かない、議事録もない、電話で問い合わせてもはっきり答えない、の三点セットが続いたのでいつしか筆者から問い合わせることはなくなり、T君なしの仕事を行うようになっていった。
筆者の隣にはS君がいる。
S君は最近まで中国に駐在していた。つまりT君の前任にあたる。
「Tさん相変わらず何も回答きません。」
S君も筆者同様T君には悩まされていた。
「もうT君アテにしないほうが仕事進むんじゃない?」
T君の対応で、S君の仕事にもかなりの影響が出ているのだ。
「そうですけど、一応駐在員ですから窓口になってもらわないとねぇ」
S君の言うことは間違ってない。
だけどそのために仕事が遅れるのは話にならないよなぁ。
そんなある日のこと、S君はいつになくイラついていた。
「どうした?」
「Tさんやっぱり昨日の打ち合わせ資料送ってきません。打ち合わせ前に確認をお願いしたことも一切やってない。」
「え?そうなの?」
「仕方ないので、現地スタッフに資料を送ってくれるよう頼んだら、一瞬で送ってくれましたよ。いったいなんでTさんはこんなに時間がかかるんですかね?」
だから筆者はT君に頼むのをやめたんだよなぁ・・・。
その後S君は資料を見てわからないところをまとめ、T君に質問メールを送った。
1時間後、筆者が席にもどるとS君が話しかけてきた。
「Pochiさん、Tさんから返信が来ましたよ。見てください。」
「へ?でもオイラにはCCで来てないから。」
「転送しました!」
早速メールを読んでみる。
これはひどい。
実験条件についても何も確認してない。普通、確認するだろ?
その上で、この実験に意味があるのか検討するべきで、彼は何をもって意味のない実験と結論付けたのか?
だいいち実験そのものに意味がないならそう指摘すれば良いではないか?
T君は本当に打ち合わせに出ていたのだろうか?
話をちゃんと聞いているのだろうか?
「どうする?」
メールを見た後、筆者はS君に問いかけた。
「それでですね、こういう返信をしようと思うのですがどうですか?」
筆者はS君のパソコンを覗いた。
「お、いいねぇ。」
「え?いや、さすがにこれを出すと人間関係にかなり影響するので出しません」
「え?出さないの?」
「いやぁ、これはさすがに・・・。」
しかしS君は本当に怒っていたのだろう。
その後、T君に電話をかけていた。
「なにもしてくれませんよね?・・・・私やりますから・・・。」
電話の向こうではT君がぶつぶつ言っていたらしい。
しかしあのメールじゃ誰だって、「こいつは頼りになる」とは思わない。
むしろやる気がないことをアピールしているに過ぎない。
こうしてT君の信用は堕ちていくのである。
仕事がら筆者の部署とかかわりが深く、時々中国のメーカーへの問い合わせを仲介したり、技術的な打ち合わせを実施してもらったりしている。
もちろんこの対応はありがたいのだが、T君には困った癖がある。
どんな打ち合わせでも議事録を取らず、会議の内容についてほとんど報告してこないのである。
「昨日の打ち合わせはどうだったの?」
現地で会議が実施された翌日、筆者もT君に問いあわせることが多かった。
「あぁ、アレ?そうだなぁ、あれは当分解決しないんじゃないかなぁ?」
メーカーがどういう報告をしてきて、それに対してT君が何て答えたのか聞きたかったのであり、T君の感想にはあまり興味はない。
しかしいくら問い合わせても資料は届かない、議事録もない、電話で問い合わせてもはっきり答えない、の三点セットが続いたのでいつしか筆者から問い合わせることはなくなり、T君なしの仕事を行うようになっていった。
筆者の隣にはS君がいる。
S君は最近まで中国に駐在していた。つまりT君の前任にあたる。
「Tさん相変わらず何も回答きません。」
S君も筆者同様T君には悩まされていた。
「もうT君アテにしないほうが仕事進むんじゃない?」
T君の対応で、S君の仕事にもかなりの影響が出ているのだ。
「そうですけど、一応駐在員ですから窓口になってもらわないとねぇ」
S君の言うことは間違ってない。
だけどそのために仕事が遅れるのは話にならないよなぁ。
そんなある日のこと、S君はいつになくイラついていた。
「どうした?」
「Tさんやっぱり昨日の打ち合わせ資料送ってきません。打ち合わせ前に確認をお願いしたことも一切やってない。」
「え?そうなの?」
「仕方ないので、現地スタッフに資料を送ってくれるよう頼んだら、一瞬で送ってくれましたよ。いったいなんでTさんはこんなに時間がかかるんですかね?」
だから筆者はT君に頼むのをやめたんだよなぁ・・・。
その後S君は資料を見てわからないところをまとめ、T君に質問メールを送った。
1時間後、筆者が席にもどるとS君が話しかけてきた。
「Pochiさん、Tさんから返信が来ましたよ。見てください。」
「へ?でもオイラにはCCで来てないから。」
「転送しました!」
早速メールを読んでみる。
Sさん
貴方の問合せに対する回答は以下のとおりです。
メーカーさん発表内容について
質問:評価条件は?
回答:不明
質問:評価に使用した材料はどこの工場の在庫ですか?
回答:不明
質問:同じ材料/条件で、別工場では試験してないですか?
回答:していません
質問:実験では先行試験以外に3lot分試験しているようですが、このLOTの違いは何ですか?
回答:不明
質問:結論はなく、継続調査とかかれてます。スケジュールを教えてください。
回答:不明
*正直言ってこの実験は”だからどうしたの?”といった感じで、実験そのものに意味があるとも思えません。
この報告にいろいろ突っ込んでも無駄なだけです。忘れましょう。
これはひどい。
実験条件についても何も確認してない。普通、確認するだろ?
その上で、この実験に意味があるのか検討するべきで、彼は何をもって意味のない実験と結論付けたのか?
だいいち実験そのものに意味がないならそう指摘すれば良いではないか?
T君は本当に打ち合わせに出ていたのだろうか?
話をちゃんと聞いているのだろうか?
「どうする?」
メールを見た後、筆者はS君に問いかけた。
「それでですね、こういう返信をしようと思うのですがどうですか?」
筆者はS君のパソコンを覗いた。
いろいろお願いしてきましたが、結局何もしてくれないのですね。
まぁこの件は自分の仕事ですからね。
今後は直接自分でメーカーと連絡して対応していきます。
今までありがとうございました。
「お、いいねぇ。」
「え?いや、さすがにこれを出すと人間関係にかなり影響するので出しません」
「え?出さないの?」
「いやぁ、これはさすがに・・・。」
しかしS君は本当に怒っていたのだろう。
その後、T君に電話をかけていた。
「なにもしてくれませんよね?・・・・私やりますから・・・。」
電話の向こうではT君がぶつぶつ言っていたらしい。
しかしあのメールじゃ誰だって、「こいつは頼りになる」とは思わない。
むしろやる気がないことをアピールしているに過ぎない。
こうしてT君の信用は堕ちていくのである。
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